【革の種類別】メンテナンス方法完全ガイド|長持ちさせるお手入れのコツ
革製品は適切なメンテナンスを行うことで、何年も美しい状態を保つことができます。しかし、革の種類によってお手入れ方法は大きく異なります。本記事では、代表的な革の種類別に最適なメンテナンス方法を詳しく解説します。
目次
革製品のメンテナンスが重要な理由
革製品は使い込むほど味わいが増す素材ですが、適切なケアを怠ると以下のような問題が発生します:
- 乾燥によるひび割れや硬化
- カビの発生
- 色あせや変色
- シミや汚れの定着
定期的なメンテナンスにより、これらの問題を防ぎ、革製品の寿命を大幅に延ばすことができます。
1. 牛革(スムースレザー)のメンテナンス方法
牛革は最も一般的な革素材で、財布、バッグ、靴など幅広く使用されています。
基本的なお手入れ手順
- ブラッシング
馬毛ブラシで表面のホコリや汚れを優しく落とします - クリーナーで汚れ除去
革用クリーナーを柔らかい布に取り、円を描くように拭き取ります - 保湿クリーム塗布
革用クリームを薄く均一に塗り込みます - 余分なクリームの拭き取り
乾いた布で表面を磨くように拭き上げます - 防水スプレー
必要に応じて防水スプレーを20cm以上離して吹きかけます
メンテナンス頻度
- 日常使いの製品:月1回
- あまり使わない製品:2〜3ヶ月に1回
- 靴:履くたびに軽くブラッシング、月2回程度のクリーム塗布
注意点
- 水濡れは厳禁。濡れた場合はすぐに乾いた布で拭き、陰干しする
- 直射日光や暖房器具の近くは避ける
- クリームの塗りすぎは通気性を損なうため注意
2. ヌメ革のメンテナンス方法
ヌメ革は植物タンニンでなめした革で、経年変化(エイジング)を楽しめる素材です。
基本的なお手入れ手順
- 優しくブラッシング
ヌメ革は傷つきやすいため、柔らかい馬毛ブラシを使用 - 乾拭き
柔らかい布で表面を軽く拭く - 専用オイル塗布
ヌメ革専用のオイルやクリームを少量ずつ塗り込む - 陰干し
風通しの良い場所で十分に乾かす
特徴と注意点
- 水シミができやすい:水濡れは特に注意。全体を濡らしてシミを目立たなくする方法もあります
- 日焼けしやすい:直射日光で色が濃く変化します
- 初期は汚れやすい:使い始めは防水スプレーの使用を推奨
- エイジングを楽しむ:飴色に変化していく過程を楽しめます
メンテナンス頻度
- 使い始め:週1回程度
- 使用3ヶ月以降:月1〜2回
3. スエード・ヌバックのメンテナンス方法
起毛革であるスエードやヌバックは、独特の質感が魅力ですが、特別なケアが必要です。
基本的なお手入れ手順
- ブラッシング
スエード専用ブラシで毛並みを整えながら汚れを落とす - ゴムブラシで汚れ除去
クレープブラシやスエード消しゴムで頑固な汚れをこする - スエード用スプレー
スエード専用の栄養・防水スプレーを吹きかける - 毛並みを整える
再度ブラシで毛並みを揃える
注意点
- 通常のクリームは使用不可:起毛革には専用製品のみ使用
- 水濡れに弱い:濡れた場合はすぐにタオルで押さえ、陰干し
- 定期的なブラッシング:毛並みが寝ないよう頻繁にブラッシング
メンテナンス頻度
- ブラッシング:使用後毎回
- 栄養スプレー:月1回
- 防水スプレー:月2回
4. エナメル革(パテントレザー)のメンテナンス方法
光沢のあるエナメル革は、特殊な樹脂コーティングが施された革です。
基本的なお手入れ手順
- 柔らかい布で乾拭き
表面の汚れを優しく拭き取る - 専用クリーナー使用
エナメル革専用クリーナーで汚れを落とす - エナメル用クリーム
光沢を保つため専用クリームを薄く塗る - 柔らかい布で磨く
仕上げに乾いた布で優しく磨く
注意点
- 通常の革用クリームは厳禁:コーティングが剥がれる原因に
- 熱に弱い:高温で変形・変色する可能性あり
- 擦れに注意:他の革製品と密着させると色移りの恐れ
- ベタつき防止:湿気の多い場所での保管は避ける
メンテナンス頻度
- 乾拭き:使用後毎回
- クリーム塗布:2〜3ヶ月に1回
5. オイルドレザーのメンテナンス方法
オイルを多く含んだオイルドレザーは、耐久性と撥水性に優れています。
基本的なお手入れ手順
- ブラッシング
馬毛ブラシでホコリを落とす - 乾拭き
柔らかい布で表面を拭く - オイル補給
乾燥が気になる場合のみ、専用オイルを少量塗布 - 余分なオイルの拭き取り
表面がべたつかないよう、しっかり拭き取る
注意点
- オイルの塗りすぎ注意:もともとオイルが含まれているため、過度な補給は不要
- 定期的な使用が重要:使うことでオイルが馴染む
- 通気性を確保:保管時は湿気がこもらないよう注意
メンテナンス頻度
- ブラッシング:使用後
- オイル補給:半年〜1年に1回(乾燥が気になる場合のみ)
6. コードバンのメンテナンス方法
馬のお尻部分から取れるコードバンは、「革のダイヤモンド」と呼ばれる高級素材です。
基本的なお手入れ手順
- 馬毛ブラシでブラッシング
表面のホコリを丁寧に落とす - 柔らかい布で乾拭き
優しく表面を拭き上げる - コードバン専用クリーム
少量を薄く伸ばして塗布 - 山羊毛ブラシで磨く
光沢を出すように丁寧に磨く - 乾いた布で仕上げ
最後に柔らかい布で拭き上げる
注意点
- 水に非常に弱い:水シミができやすいため、雨の日の使用は避ける
- 専用製品を使用:コードバン専用のケア用品を使う
- 強く擦らない:デリケートな素材のため優しく扱う
- 定期的な手入れ:放置するとひび割れの原因に
メンテナンス頻度
- ブラッシング:使用後毎回
- クリーム塗布:月1回
- 本格的な磨き:2〜3ヶ月に1回
7. 型押し革のメンテナンス方法
クロコダイル型やシボ加工などの型押し革は、凹凸があるため特別な注意が必要です。
基本的なお手入れ手順
- 細かいブラシでブラッシング
溝の汚れをかき出すように丁寧にブラッシング - 綿棒で細部の汚れ除去
凹部分の汚れは綿棒で拭き取る - クリーム塗布
革用クリームを柔らかい布で塗り込む - ブラシで馴染ませる
クリームを凹凸に馴染ませるようにブラシをかける - 乾拭き
仕上げに柔らかい布で拭き上げる
注意点
- 溝に汚れが溜まりやすい:定期的な清掃が重要
- クリームの量に注意:溝に溜まりすぎないよう適量を使用
- 本革か合皮か確認:型押しには合成皮革も多いため、ケア方法を確認
メンテナンス頻度
- ブラッシング:週1回
- クリーム塗布:月1〜2回
革製品のメンテナンスに必要な道具
基本セット
- 馬毛ブラシ
- 柔らかく、日常的なホコリ落としに最適
- 全ての革に使用可能
- 豚毛ブラシ
- やや硬めで、クリームを塗り込むのに適している
- スムースレザーの仕上げに使用
- 柔らかい布(ネル生地など)
- クリーム塗布や拭き上げに使用
- 使い古しのTシャツでも代用可
- 革用クリーナー
- 汚れを落とすための専用クリーナー
- 革の種類に合わせて選ぶ
- 革用クリーム
- 保湿と栄養補給のため
- 無色と色付きがある
- 防水スプレー
- 水や汚れから革を守る
- 革の種類に応じた製品を選ぶ
革の種類別専用アイテム
- スエード・ヌバック:スエードブラシ、クレープブラシ、専用スプレー
- エナメル:エナメル専用クリーナー・クリーム
- コードバン:コードバン専用クリーム、山羊毛ブラシ
- オイルドレザー:ミンクオイル、レザーオイル
革製品の保管方法
正しい保管方法も革製品を長持ちさせる重要なポイントです。
基本的な保管ルール
- 湿気を避ける
- カビ発生の原因となるため、湿度の低い場所で保管
- 除湿剤の使用を推奨
- 直射日光を避ける
- 色あせや乾燥の原因に
- 暗所での保管が理想的
- 通気性を確保
- ビニール袋は避け、不織布の袋を使用
- 定期的に風を通す
- 型崩れ防止
- バッグには詰め物をする
- 靴にはシューキーパーを入れる
- 他の製品との接触を避ける
- 色移りを防ぐため、個別に保管
長期保管の場合
- 保管前に必ずメンテナンスを行う
- 3ヶ月に1回は取り出して陰干し
- 必要に応じて軽くクリームを塗布
革製品のトラブル対処法
水に濡れてしまった場合
- すぐに乾いた布で水分を吸い取る(擦らず押さえる)
- 型崩れしないよう詰め物をする
- 風通しの良い日陰で自然乾燥
- 乾いた後、クリームで保湿
NG行為:ドライヤー、直射日光、暖房器具の使用
カビが生えてしまった場合
- 乾いた布でカビを拭き取る
- 革用クリーナーで拭く
- 陰干しで十分に乾燥
- 革用クリームで栄養補給
- 防カビスプレーを使用
重要:カビが深く根付いている場合は専門店に相談
シミができた場合
- 水性のシミ:全体を均一に湿らせてシミを目立たなくする
- 油性のシミ:革用クリーナーで優しく拭き取る
- 頑固なシミ:専門店でのクリーニングを検討
革の種類別メンテナンス比較表
| 革の種類 | メンテナンス頻度 | 主な手入れ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 牛革(スムースレザー) | 月1回 | ブラッシング、クリーム塗布 | 水濡れ注意 |
| ヌメ革 | 月1〜2回 | 専用オイル塗布 | 水シミ、日焼けしやすい |
| スエード・ヌバック | 使用後毎回ブラッシング | 専用ブラシ、スプレー | 通常クリーム使用不可 |
| エナメル革 | 2〜3ヶ月に1回 | 専用クリーナー、クリーム | 熱・擦れに弱い |
| オイルドレザー | 半年〜1年に1回 | オイル補給(必要時のみ) | オイルの塗りすぎ注意 |
| コードバン | 月1回 | 専用クリーム、丁寧な磨き | 水に非常に弱い |
| 型押し革 | 月1〜2回 | 細かいブラッシング | 溝の汚れ注意 |
まとめ:革製品を長く愛用するために
革製品のメンテナンスで最も重要なのは、革の種類に合った適切なケアを定期的に行うことです。
メンテナンスの基本原則
- 革の種類を正しく識別する
- 専用のケア用品を使用する
- 定期的に手入れを行う
- 適切な環境で保管する
- トラブル時は早めに対処する
革製品は正しくケアすれば、10年、20年と長く使い続けることができます。経年変化を楽しみながら、愛着のある一品を育てていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. メンテナンスの頻度が多すぎるとどうなりますか?
A1. クリームやオイルの塗りすぎは革の通気性を損ない、カビの原因になります。適切な頻度を守りましょう。
Q2. 革の種類がわからない場合はどうすればいい?
A2. 購入店に確認するか、革製品専門店でアドバイスを受けることをおすすめします。
Q3. 安い革製品でもメンテナンスは必要?
A3. 価格に関わらず、本革であれば適切なメンテナンスで長持ちします。合成皮革は別のケアが必要です。
Q4. 初めての革製品メンテナンスで揃えるべき道具は?
A4. まず馬毛ブラシ、柔らかい布、革用クリーム(無色)、防水スプレーの4点があれば基本的なケアが可能です。
Q5. プロのクリーニングはいつ依頼すべき?
A5. カビが深く根付いた場合、頑固なシミ、色あせが激しい場合は専門店への依頼を検討しましょう。
革製品のメンテナンスは難しく感じるかもしれませんが、基本を押さえれば誰でも簡単に行えます。この記事を参考に、大切な革製品を長く美しく保ちましょう。
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